伝統構法に必要で、大前提の要素。
「手刻み」
手刻みとは、大工が墨付けをし、手作業で仕口や継ぎ手を加工することです。
よく紹介されるのは、手作業で作りあげる想いが込もったとか、全自動の機械にできない複雑な加工が可能といったこと。
正解ですが漠然としていますよね。
それではプレカットの家には想いは込められていないのかと言いたくなりますよね。
説明しきれてなかったんです。
だから理解が遠のき、安価でスピードでも勝つ機械が逆転しました。
それでも家が建つ世の中になりました。
大工の技術が廃れていきました。
家づくりとは
家に求められるものとは
阪神淡路大震災のような巨大地震にも耐え、住まい手を守ること
安心して長く住み続けることができることではないでしょうか。
建てることそのものが目的となり、安く形だけの消費物を作るのはいたたまれない気持ちになります。
家を長く住み続けれるようにするには、手刻みが不可欠です。
大工の想い。
これはつまり、木を見て適切に使う場所、使い方を見極める知識、知恵、それに伴った技術を発揮する気心だと思います。
ただ想うだけなら、気持ちだけなら誰もが持っています。
そして複雑な加工とは
機械が使えない領域の手加工が、家にとって何が重要なのか
それは1番大事な要素である、「角を出す」ことができること。
そして組み合わせた木を「効かす」ことができることです。
形だけの加工を、機械ですることはいずれ可能かもしれません。
でも逆に機械でするメリットにもなりません。
角を出すことで頑丈になり、緩まない仕事になります。
効かせることで木が引き合い、揺れない構造になります。
同じく面を出すことでピタリと引っ付き、摩擦により動きを抑えます。
そのためには、使う道具がよく切れること。
だからこそ必死に研ぎます。
色んな想い1つ1つが家にとって大事なことです。
それが家が保ち続けるのに大事なことで、逆に言えばそれができれば家は頑丈になり長持ちします。
言うのはすごく簡単でした 笑
でもこの重要性を説明しないことが大きな差を生んだのだと思います。
多分できなかったんです…大工ってそういう人種ですから 笑
当時はそれが常識だったから必要もなかったのだと思います。
どれも機械にはできないことです。
長く住める家にはそれだけの資産価値があります。
もし手放す選択を余儀なくされても、価値のあるものとして買ってもらえます。
そうして理解が深まり、より多くの本物の家が増えていけばと願います。